日本映画の舞台はバスと屋上だ!
日本映画の撮影場所はバスと屋上!現代劇ではバスと屋上が出てこない映画のほうが少数派です。製作者たちは安易にバスを選んでいるのかというと、そうじゃない。バスのシーンは映画のトーンを観客に説明するときに使われます。だからバスのシーンは監督の腕の見せ所。まずは2017年の映画でバスがどう使われたのかを解説します。
恋人までの距離を表現するためにバスを使うパターン
恋愛映画では恋人同士の距離感を示すシーンでバスを使います。
『心が叫びたがってるんだ。』
座席が一つ空いているので、恋人未満の関係を意味する。
『昼顔』
隣同士なので親密な関係を意味する。
『ハルチカ』
男(佐藤勝利)がヒロイン(橋本環奈)に座席を譲ることで恋心が芽生えていることを表現するシーン。
『RELIFE』
画面に写っているのは千葉雄大や池田エライザなんだけど、主人公カップルの中川大志と平祐奈はバスに乗っていない。つまり主人公カップルがバスに乗らないことで急接近していることを意味するのだ!これは上手いアイデア。
映画全体の雰囲気を印象付けるためにバスを使うパターン。
2017年はバスから始まる映画が多かったです。映画のオープニングがバスなんです。バス内を描写することで登場人物の性格や「この映画はどういうテンションなのか?」を観客に説明しています。
『トリガール』
バスの中がオタクだらけで土屋太鳳が悲鳴を上げる。というシーンから始まる。コメディ映画であることを説明している。
『ハルチカ』
橋本環奈がバスに乗り遅れてバスを叩くシーンから始まる。橋本環奈の破天荒な性格を説明している。
『兄に愛されすぎて困ってます』
ストーカー気質の兄が妹の乗ったバスを襲撃!というのがオープニング。メチャクチャな映画であることを説明している。
どうでもいいけど都市部の学校生活が描かれる映画なのに、バス停が山の中であからさまにおかしい。合成臭いし。でもバス襲撃シーンに繋げるためにこうするしかなかったのだろう。アメリカの砂漠を埼玉県と言い張った『漂流街』みたいで楽しい。
『愚行録』
これが2017年最高のバス映画『愚行録』だ。
「老人に席を譲れ」
と妻夫木聡演じる主人公が怒られて
「すいません」
と謝るところから始まる。ところが主人公は足が不自由なのでバスの中は気まずい雰囲気になる。でも実は主人公の足は悪くなくて演技だ。なぜ演技したのかというと乗客たちに対する主人公の嫌がらせなのだ。この僅かなシーンだけで主人公の性格と映画の嫌なトーンが観客に説明される。
屋上が使われるパターン
日本ではテレビドラマもPVも映画もひたすら屋上を使う。2017年の屋上映画の特徴は、クライマックスが屋上というパターンが多かったです。バスはオープニングで使われるけど、屋上はクライマックスで使われるのね。
クライマックスが屋上だった映画
下記は屋上をクライマックスの舞台にした2017年の映画です。
- サクラダリセット
- 劇場版 お前はまだグンマを知らない
- 暗黒女子
- 美しい星
- 相棒 -劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断*1
周囲の目を気にせず撮影できるということで、大物芸能人集合!的なシーンが多かった。
屋上で踊る映画
ちなみに屋上はダンスシーンでもよく使われる。これは2017年に限った話じゃないけど。
『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』
海辺の邦画
バスと屋上以外に、もう一つ最近急激に増えたロケ地があります。海辺です。2017年は海辺を使う日本映画が多かった。あまりにも多すぎるので列挙できないほど。とりあえず何個かあげます。
『光』
『ハルチカ』
『ピーチガール』
『サクラダリセット』
『サクラダリセット』は4時間の上映時間の半分近くが屋上と海辺で展開する。
『君と100回目の恋』
『昼顔』と『兄に愛されすぎて困ってます』が似てる!
日本の恋愛映画は似たようなパターンを踏襲するため似たような映画が大量生産されます。2017年はドロヌマ愛憎劇の『昼顔』とドタバタ恋愛コメディの『兄に愛されすぎて困ってます』が全く違う設定なのに同じ展開になるという珍現象があった。↓こんな感じ。
ヒロインがバスに乗っていると、男が追っかけてくる
昼顔
兄に愛されすぎて困ってます
海岸でデートする
昼顔
兄に愛されすぎて困ってます
ヒロインは海辺の家で男と時間を過ごす
昼顔
兄に愛されすぎて困ってます
夏祭りに行く
昼顔
兄に愛されすぎて困ってます
横浜大さん橋客船ターミナルに行く
昼顔
兄に愛されすぎて困ってます
以前から破壊屋で書いてきたけど、女性向けの恋愛モノは夏祭りロケ&みなとみらいロケが定番であり、そこにさらにバスと海辺という新定番が加わった感じです。
*1:屋上後にも話が二転三転するけど